眠れない夜は無理に目を閉じようとするよりも、いっそ読書をしてしまうことがあります。
部屋の明かりを少しだけ落として、ベッドサイドの小さなライトをつけ、本をそっと開くんです。昼間とは違って、夜の読書はとても静かで、どこか秘密めいた時間のように感じられます。
ページをめくる音がやけに大きく聞こえたり、物語の一文一文が心にゆっくり染み込んできたりして、昼間よりも感受性が高まっている気がするのも、眠れない夜の読書の好きなところです。
眠れない不安や焦りも、物語の中に入り込んでいるうちに、少しずつやわらいでいきます。登場人物の悩みや喜びに触れていると、「私だけじゃないのかもしれない」と、ほっとすることもあります。
夜に読む本は、できるだけ穏やかな内容のものを選択。激しい展開の物語だとかえって目が冴えてしまうので、やさしい言葉でつづられた小説や、心が落ち着くエッセイを好みます。文章を追いかけながら、だんだんとまぶたが重くなっていく感覚は、とても心地よいものです。
それでも眠れないときは、本を胸の上に置いて、物語の余韻を感じながら目を閉じます。読書をしている時間は、眠れない自分を責める時間ではなく、自分をいたわる時間と言えるでしょう。静かな夜にそっと寄り添ってくれる本の存在に、いつも助けられています。