自らの経験を綴ったノンフィクションの手記にはリアリティがあり、どこか親近感を覚えるものです。それは著者が考えていることや経験したことがどこか自分の人生観にも通ずるところがあるからかもしれません。
今から5年位前にアメリカ人女性が書いたノンフィクション作品を読みました。著者はニューヨークに住みオフィスワークをしていたごくごく普通のどこにでもいる女性でした。そんな彼女は兼ねてから住みたかったニューヨークの街での暮らしを謳歌するためにとにかく散財します。最初は会社に行くための靴を買うところから始まり、おしゃれに美容、グルメ、友人との付き合いなどおしゃれや楽しい事に思う存分お金を注ぎ込んでゆきます。しかしながら月々の給与は限られており、上限はあるものです。それに気づいた時には既に遅く、毎月の給与は全てカードの支払いで終わってしまい、自分でもどのくらいローンがあるのか分からない状態へと陥るのです。しかも悪いことは続くとばかりに仕事も上手くゆかず無職になってしまい、著者の人生はニューヨークでの華やかな生活とは裏腹にとても苦しいものになってゆきます。でもこの作品の凄いところは、読者を暗い気持ちにはさせない明るさとバイタリティーがあるところです。実に爽快にあけっぴろげに自らのお金の失敗談を書いているところが、この書籍の最大の魅力と感じます。そしてこれはアメリカだけの話ではなく、日本で暮らす女性にも起こり得ることだと感じます。でも人には身の丈があり使えるお金の額は決まっています。お金とよい関係でいるためにも、実体験を基に書かれたこの本はとても勉強になると思いました。