助産師さんの言葉から学んだこと

先日図書館で借りた雑誌にとても興味深い記事が掲載されていました。そこには4000人以上の命を取り上げた助産師さんのことが書かれていました。80代後半に差し掛かっても現役で命と向き合っている方の言葉は胸に響くものばかりでした。そして「産まれること」「死ぬこと」は人間の摂理であること、医療が発達しても病気は無くならいこと、命ある者は必ずこの世を去ることを改めて実感したのでした。それらは当たり前のことではありますが、遥か遠くで起きていることのように感じていました。しかしながらこの記事を読んでいるとそれらは私の身近にあるものだと思うようになったのでした。
また産まれることは祝福と闘争であるという言葉は心にスッと響きしっくりときました。なぜならばこの世界で頑張って生きてゆくことは闘争そのものだと感じたからです。そして死の訪れは無であり生きてきたことを労う時であるという文章からは、産声を上げた時点で死というゴールが必然的に与えられるのだと悟ったのでした。
「生」と「死」は潮の満ち引きが密接に関係しているそうです。このことからどんなに文明が発達したとしても、大昔からある自然の摂理と供に私達は歩み続けていることを改めて実感しました。数多くの命を取り上げてきた女性の奥深い言葉は、今ここで生きていることを大切に受け止めること、両親や家族に感謝の念を抱かせてくれたのでした。

豚の角煮でなごやかな夜を過ごしたい

料理意欲が心の底から沸き上がる時期があります。そんな時はレシピが掲載された本を片手に夜を過ごすことにしています。なぜならば「次はどんな料理を作ろうか」と考えながら眠りに着くことに至福を感じるからかもしれません。こうした生活を送っていると私はなんて食いしん坊なのだろうと思うのです。しかしながら食べることは生きることでもあるので、食への好奇心を捨てることはできません。
さて先日図書館を訪れた際にレシピ本を借りてみました。この本には夜をなごむための料理がたくさん載っていて、特に〆の麺についてのレシピは簡単で個性溢れるものばかりでした。汁なし担々麺、あっさり魚介スープのヌードルなど。エスニックな香りも漂ってきそうで頭にはパクチーが浮かんだりもします。そんな素敵な本を借りたきっかけは、過去に借りた人が着けた付箋に心奪われたからでした。なんと豚の角煮が掲載されているページに摩訶不思議なイラストの付箋が5枚位張られていたのでした。恐らく付箋を着けた方は豚の角煮を作り、お腹一杯になったことが想像できます。そして私もまた角煮作りに励もうと意気込んでいるのであります。
本との出会いは偶然と運命が伴うものです。この書籍もまた出会うべくして出会ったのであろう作品だと感じています。

スケッチブックに今のことを書き留めること

スケッチブックにイラストを描く女性の記事を読みました。この方は若い頃から購入した洋服や靴、バッグや小物などを全てイラストにして記録を残しているそうです。この記事が載っていた雑誌には、女性が手掛けたたくさんの絵が載っていてとても興味を魅かれたのでした。どのスケッチも色付けされておらず黒い線だけで描かれていましたが、センスがよいおしゃれなアイテム達がどんな形をしていて、どんなコーディネートに見合うものなのかが一目瞭然で分かるスケッチに仕上がっていました。それらからおしゃれを楽しむ心意気が伝わってきたと同時に「絵心があるって素敵だな」と感じました。
洋服やファッション小物達は大切にすれば長く愛着を持って楽しむことができますが、いつしか物は壊れ、傷んでしまうものです。でもスケッチとしてノートに書き留めておくことで、いつまでも持ち主の心の中に大切に保管されてくのではないかと感じます。またその時代に流行したアイテムなどをノートに残すことで、自分が過ごしてきた過去を振り返り懐かしむことができるのもいい時間だと感じます。あの記事に出会ってから私もいつかノートに今のことを書き留めたいと感じるようになりました。一週間に数分でもいいからペンを持って書く時間を設けることで、暮らすことをより豊かにさせてくれる気がします。

ワクワクすることの楽しさを改めて知った美術展

「ワクワクする気持ちを大切にしたい。」それは以前訪れたファッションデザイナーの美術展に行った時に思ったことです。世界的にも有名なデザイナーのライフスタイルを垣間見ることができるかなり貴重な場でもあったこの企画展は、日々の生活を楽しむことを教えてくれました。会場となった美術館には、仕事部屋や寝室を再現した空間、写真や絵などのコレクションまで置かれていてまるで彼の頭の中に入り込んでしまったかのようでした。写真にはUKを代表するロックやテクノのアーティスト、幾何学模様の美しいタペストリーまで、ずっと観ていても飽きが来ることはありませんでした。またプライベートルームにはキッシュなものから個性的な家具、たくさんの書籍が散りばめられていてまるでティーンエイジャーの男の子の部屋に迷い込んだように感じたものです。そこにはわんぱくで面白いことが大好きな子供の頃のファッションデザイナーがいるような錯覚を味わいました。いつまでも少年の心を忘れないからこそ、あんなにカラフルで素敵な洋服を作ることができるのだと納得したものです。
デザインする時は雑誌や書籍からインスピレーションを得ることもあるそうです。日常生活の中から貪欲にイマジネーションや刺激を吸収するその姿勢を私も見習いたいと思いました。そして楽しいことが大好きでスタッフやモデルからも愛される人柄のデザイナーのファンになったと同時にこんな素敵な生き方をしたいという感情が心の中に沸き上がってきました。
何事も楽しもうとする姿勢があれば、未来をもよいものに変えられるのではないかと思います。この展覧会はたくさんの希望と想像力を与えてくれた素晴らしい時間でした。

私の人生に無くてなならない映画

大切に心に留めておきたい芸術作品があります。それらは若い頃に読んだ小説や幼い頃に手にした絵本など、形は異なりますがどれも私の宝物です。そんな思いが詰まった作品の中で、時折無性に鑑賞したくなる映画があります。この映画との出会いはかれこれ数十年前になるでしょうか。絵本から生まれたアニメーション映画で、海がある美しい街に住み魔女の修行のため独り立ちする女の子の物語です。昨晩この映画をレンタルショップで借りて鑑賞しました。初めて観た時はまだ小学生の頃だったため、やんちゃで冒険心が強い主人公の女の子の可愛いらしさが強く印象に残ったような気がします。それから何度も観てゆく中で作品への思いは少しずつ変化をしてゆきました。そして昨晩鑑賞したことでまた新しい感想を抱いたのでした。自分の持っている特技を生かして仕事をすること、才能があるからこそ知る挫折や希望。これらは「職人気質」とも言うべく、自分の特技を生業にしているからこそ生まれる葛藤であることを知りました。「職人」に憧れを抱く私には、それらは新鮮な発見でもあったのでした。これからもこの作品を観る日がやってくると思います。その時はまた新しい感想が生まれると思うと、感慨深い気持ちになるのでした。

水玉模様を楽しみたい

「水玉模様」この言葉を目にするととても懐かしい気持ちがこみ上げてきます。幼い頃にこの柄のスカートやワンピースを着ていたことがあるような、ないような不思議な感覚になるからでしょうか。
先日読んでいた小説に初老の女性が水玉模様のワンピースを着ているシーンが描かれていました。この方はとてもおしゃれで可愛らしいキャラクターの女性で、時折物語に登場するのが私の密かな楽しみでもありました。いつも個性的な色の組み合わせを上手にコーディネートしているところにとても好感が持てたし、こんな可愛らしい洋服が似合う年の取り方をしたいと感じました。
さてこの小説を読んでいた時のこと、たまたま通りかかった洋服屋さんで紺地に白の水玉模様の七分丈のパンツを見つけました。コーディネートにも幅を利かせることができると考え、鏡の前で合わせてみたところ、「このパンツに黒いTシャツやタートルネックを着て、ベレー帽を被ったらフランス人の絵描きスタイルの完成」など様々なイマジネーションが湧いてきました。同時に小説に登場するおしゃれな初老の女性が頭をよぎり思わず購入したのでした。まだ一度も着ておらず今はクローゼットの中でお休みをしていますが近々これを履いてお出掛けしようと思っています。

お部屋の模様替えのお駄賃はユニークすぎる単行本

先日友達から頂いた小説を読みました。それはお部屋の模様替えを機に不要なものを整理するお手伝いしたお礼として何冊かの単行本を頂いた中の一冊です。部屋の本棚に入れておきつつもなかなか読む機会がなく、あれから半年ほど過ぎてからページを開いたのでした。大の短編小説好きでもあり、彼のコレクションする短編集は面白くかつ濃厚なストーリーが胸に残るものが多いです。そのため彼のレコメンドは、本を選ぶ時にとても役立っているのです。しかしながら先日頂いた単行本は短編ではなく長編だったことに驚きつつも、ユニークで斬新な物語は一度ページを開いたら最後、ノンストップで完読してしたのでした。この作品には人間の他に幽霊や素敵なデザインのしゃべる眼鏡も登場します。どのキャラクターも物語の重要なキャラクターのため、とても不思議な世界に迷い込んだような錯覚を起こさせてくれるのも魅力だと思いました。特に眼鏡は夜になると人間の姿に変化することが出来て、紳士でお洒落で涙もろい白人男性として君臨するところは、何ともあっぱれでした。また幽霊の少年は消え入りそうな程に影が薄いのですが、ラストシーンに主人公と色濃く関わるためストーリーには無くてはならない存在になっていました。完読し終えた時には、彼らと別れることが寂しく思ったほどに心をギュッと掴まれたこの小説は私のお気に入りとして棚にしまってあるのでした。

雨の日の憂鬱を改心した所作についての本

こないだ昼間に映画を観に出掛けました。朝から曇天で日も差さず午後には雨が降ってきました。大きな買い物をしたこともあり降りしきる雨の中大きめの黒いバッグと紙袋を持ち傘も上手くさすことができず、とてもイライラしていました。また服も持ち物も濡れてしまい、かなり憂鬱な気持ちになり今にも泣きそうな気分だったことを覚えています。このままもう歩き続けることは出来ないと悟り映画のチケットを購入してから、上映時間までコーヒーを飲んで過ごすことにしました。
大通りの2階に店舗があるせいか明るいライトに照らされた店内は人も少なく静かでした。私は椅子に座りホッとした気持ちでバッグから本を取り出しました。それはお坊さんが書いた所作についての本でした。ページを開くと禅の言葉を例にあげながら美しい佇まいの在り方、呼吸や姿勢を整えることが書いてありました。そしてふとこの日の自分の行動や立ち振舞いを振り返り、反省の念に浸ったのでした。なぜなら天候に左右され気持ちも沈みがちになり心が荒んでいたからでした。しかも姿勢は猫背で美しさとはかけ離れた姿に愕然としたのでした。喫茶店でこの書籍を読み一息いれた頃には、少し気持ちも落ち着いて心持ちか爽やかになっていました。
「憂鬱な時でも平常心」最近は所作の本から得たことを教訓として、この言葉を胸に過ごしています。

美しい花束からイマジネーションを膨らませて

先日ふと立ち寄ったフラワーショップでスーツ姿の男性が花束を購入しているのを目にしました。その姿を見た時に会社で働く仲間のためかそれとも奥さんのためかと想像が膨らんだものです。そんな気持ちになったのは、愛らしくてとても女性らしい花束を持っていたからかもしれません。ピンクを基調としたバラやカーネーションと緑色の葉、横にちょこんと飾られている小さなリンゴはとても斬新なアレンジメントだったのでした。そして貰う人の雰囲気や容姿などのイマジネーションが膨らみ、ちょっとした楽しい時間を一人で味わったのでした。
以前携帯ショップに立ち寄った時に置いてあった雑誌をめくっていたところ、フラワーアレンジメントについての記事が載っていました。プロが作る艶やかな作品は写真からも植物の生命力のような迫力を感じることができました。また大きな花瓶に生けられた赤を基調にしたダイナミックな作品からは色っぽさやセクシーさを連想させられたのでした。
あのフラワーショップで目にした花束も雑誌でみたアレンジメントの作品に通じるものがあったように思います。それはどちらも道ですれ違い様に思わず見惚れてしまうくらい綺麗な女性を連想させるような感じかもしれません。フラワーアレンジメントの世界の奥深さを思いながら、想像力を膨らます楽しみもまた格別だと思ったのでした。

思いがけないクッキー作り

世代を超えた女4人でお菓子作りをしました。友人宅で誰かがふと「クッキーを焼こう」と提案したことが発端となり、午後のおやつが決まったのでした。そこにいたのは30代の友達、彼女の愛娘、そして友達のお母さんでした。4人で時間を過ごしていたら子供の頃の母との思い出が頭をよぎり、懐かしくなったものです。そのため思いも寄らないスイーツ作りは、楽しくてワクワクしながらも少しセンチメンタルなものになりました。
材料は小麦粉、バター、卵、砂糖というとてもシンプルなもので、こだわりはオーガニックの三温糖を少な目にしたことでしょうか。そんな少しの心遣いが良かったのか焼き上がったクッキーは優しい甘さで上品なお味となりました。また作っている時はワイワイと他愛もない話をしながら、型抜きを使い一枚ずつ丁寧に形をとりトッピングを乗せました。トッピングは友達の愛娘が手掛けてくれて、ポップで華やかなものが出来たことに私達4人は大変満足でした。
この日一番印象に残っているのは、お母さんが棚から出してきたレシピ集でした。使い込まれていて、ところどころに小麦粉がついているところから、昔からお菓子作りをよくしていたことを知ることができました。そのためかこの親子はとても手際がよくて、立ち振る舞いを見ているだけで気持ち良さを感じたのでした。何よりも雨の午後のささやかな時間は温かくて素敵な思い出となりました。