今は亡きギャグマンガ家に思いを馳せることがあります。私が幼い頃、この方が書いたマンガがテレビで放映されていました。ゆるくて独特の個性を持つキャラクター達は今でも心に残っており、声や仕草までも思い出すことができます。まだ小学生だった私はテレビで放映されていた内容を断片的にしか覚えておらず、今思い出すともっとしっかり観ておけばよかったという後悔の念が残ります。しかし当時当たり前のように観ていたマンガの作者のことをよく知ったのは、大人になってからことでした。私が好きな小説家や劇作家がファンで、彼のことを語る書籍や番組などを目にしたことで、生きていた頃の逸話に出会ったからです。楽しい事が大好きで仲間とお酒を飲む時間を愛していたこと、見ず知らずの人とでも打ち解けて酌を酌み交わしていた生前の姿を知った時には、とても親近感が湧いたものです。そして私が心に最も残っているのは、「どんなに偉くなったとしても注意や助言を真摯に受け止めることが出来る人間であること」を語ったことでした。年齢を重ねると自分が歩んできた道に固執してしまうことで、よきアドバイスを無駄にしてしまうこともあるものです。それはとてももったいないことだと思います。本来ならば助言を与えてくれたことに感謝をする気持ちを持つべきだからです。でもなかなか素直には慣れない時もあるものです。幼い頃から知っているこの作家は出会う人々といつでも同じ目線で物事を楽しんでいたことを書籍などから知ることで、謙虚でいることは生きていく上でどれだけ大切なことかを学んだのでした。